<オーデュボンの祈り>
お前は逃げるよ
──祖母
彼は、伊藤がこの島に来ることを知っていた
──日比野
宗教だけにはうかつに近寄るんじゃねぇよ
──祖母
未来は神様のレシピで決まる
──日比野
人生ってのはエスカレーターでさ。自分はとまっていても、いつのまにか進んでるんだ。乗ったときから進んでいる。到着するところは決まっていてさ、勝手にそいつに向かっているんだ。だけど、みんな気がつかねえんだ。自分のいる場所だけはエスカレーターじゃないって思ってんだよ
──祖母
狂気と受容。狂うことと受け入れることは似ている
──伊藤
人間の悪い部分は、動物と異なる部分すべてだ
──祖母
ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ。島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく
──萩島の言い伝え
理由になっていない
──桜
俺は俺の歩き方が一番好きなんだ
──田中
この島がリョコウバトと同じ運命をたどるとすれば、私はオーデュボンのようにそれを見ているしかないでしょう
──優午
一回しか生きられないんだから、全部を受け入れるしかねえんだ
──ウサギさんのばあさん
優午は自分が殺されるのをどうしてわからなかったんだろう?
──伊藤
たんぽぽの花が咲くのに価値がなくても、あの花の無邪気な可愛らしさに変わりはありません。人の価値はないでしょうが、それはそれでむきになることでもないでしょう
──優午
これが現実でないなら、それはそれでいいじゃないか
──伊藤
そうとも、愛してるさ
──祖母
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