2011年5月2日月曜日

ハゲタカ


外資系や金融機関系の金融サービサーは、M&Aによる企業買収のノウハウを活かして、
「企業再生」により、投下資本の回収をはかろうとするケースが増えている。
外資系債権回収会社は、「ハゲタカ」の異名を得ているように、
銀行から債権を買い取った上で、資産調査した上で、
優良企業であることが判明すれば、会社乗っ取りをすることでも知られている。

外資系債権回収のやり方は、第一段階は、返済条件についての交渉から始まる。
つまり、債権譲渡を受けた段階で、債務者に対し、返済条件の提示を求める。
その次に、債務者からの提示された条件が妥当かどうかを判断するのに必要だからという口実で、債務者の会計帳簿の開示を要求する。
会計帳簿から会社の経営にクレームをつけ、経営努力をすればもっと収益は伸ばせるし、返済額も増額させられる筈だと主張し、主力債権者として
、債務者企業への役員派遣を要求する。これに応じなければ、債務の一括返済をしろ、それができなければ法的手段に訴えると脅かす。

つまり、担保権の実行だ。そうなれば、担保物件とされている会社の店舗、あるいは会社工場が競売に付される。
そうなれば、企業としての存続は危ぶまれる。担保権実行は、債務者にとっては、これ以上の脅しはない。
やむを得ず、
債権者の要求どおり、役員を受け入れざるをえなくなる。
金融サービサーから送りこまれた役員は、その権限を利用して、債務者企業の決算を巧みに実態より悪く粉飾する。
マイナス粉飾決算である。顕著な債務超過を作出した上で、金融サービサーは、
担保権実行ならびに会社更生法の適用申請や破産申立などを行う。

民事再生法は旧経営陣が残れる。(債権者には競売実行権利がある)
会社更生法はスンサ-がいることを前提に、旧経営陣は退任する。


従来の経営者を排除し、他の債権者に対しては、
作出された決算書をベースにして策定された返済条件を受け入れさせるためである。

つまり、外資系金融サービサーの企業再建というのは、
担保権実行と会社更生法や破産 の申立を巧みに使って、金融サービサー主導のもとに、経営者と債権者を排除して、
「負」を廉価に整理した上で、企業を他に高く売却して利益を得る手法である。

バブル崩壊が危惧されている韓国では、外資系のファンドが、同様の手口で企業乗っ取りを画策する事件が横行し、
韓国政府もこれに対処するため、詐欺罪などの刑事事件による摘発が相次いでいるということだが、
日本では、外資系債権回収会社だけではなく、国策会社である整理回収機構が同様な手口をとって
「企業再生」をはかっているため、金融庁も厳しい対応をとりきれていない。

株式買収は、含み資産のあるこれらの会社に目をつけ、それを株主に分配することを餌に、
密かに株主の合意を取り付け、会社を計画的につぶし、利益を吸い取った残りで企業を再出発させようというものである。
だから、企業を地道に経営しようという意図はない。仮に、買収に失敗しても、
高値で会社に買い取らせることができるので、高額な利益が得られる。
これらは、グリーンメーラーとか濫用的買収者とも呼ばれる。

そして、あまり気づかれていないことだが、これと同じ企業乗っ取りが、
金融サービサーによる投下資本の回収に使われているのである。
「株主」ならぬ「債権者」による企業乗っ取りである。
手法は、まったく同一である。
違うのは、敵対的買収のばあいは、株を買い占め、多数の株を保有しなければならないのに対して、
金融サービサーによる企業乗っ取りのばあいは、多額の債権を有すればよいという点である。
金融サービサーのばあいは、金融機関からきわめて廉価に債権を買い取っているから、
敵対的買収よりはるかにコストは安くてすむという大きな利点がある。
外資系金融サービサーは、ここに目をつけたのである。

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